酒蔵の魅力と実績
歴史と立地の特徴
1881年創業の菊水酒造は、新潟県新発田市に本社を構える老舗の酒蔵です。越後平野の肥沃な大地と、飯豊連峰から湧き出る伏流水に恵まれた地にあり、酒造りに理想的な自然環境のもとで発展してきました。
新潟淡麗辛口の代表格として広く知られ、1972年には日本で初めて缶入りの生原酒「ふなぐち菊水一番しぼり」を商品化するなど、業界に革新をもたらす存在でもあります。地酒文化を牽引しつつ、伝統と先進性を併せ持つ蔵として、国内外のファンを惹きつけています。
独自の酒造りへのこだわり
菊水酒造では「品質は細部に宿る」という哲学のもと、伝統的な手仕事と先端技術の融合を追求しています。最新の無菌充填技術をはじめ、発酵管理の自動化、AIによる温度や糖度の制御を導入する一方で、杜氏や蔵人の五感による繊細な判断を大切にしています。
また、地域に根ざした原料調達や、独自開発の酵母や仕込み技術なども積極的に取り入れ、日常の一杯からプレミアムな体験まで、多彩な酒質を実現しています。
プレミアム日本酒の展開(4銘柄)
『K(kei)』純米大吟醸
- 香り・味・口当たり・余韻:白桃やマスカットのような芳香があり、口当たりは滑らかでシルキー。米の旨みと酸がバランスよく、透明感のある余韻が続く。
- ペアリング:新発田産越後もち豚の低温調理ポークソテー~西洋わさびと塩で。脂の甘みと酒の繊細な酸が絶妙にマッチ。
- 受賞歴:IWC SAKE部門 銀賞受賞。
『無冠帝』純米大吟醸
- 香り・味・口当たり・余韻:上品な吟醸香、和梨のようなみずみずしさ。優しい甘さと軽快なフィニッシュが特長。
- ペアリング:新潟産ヤリイカとアスパラのグリル バター醤油仕立て。旨味と香ばしさが酒の香りと調和。
- 受賞歴:全米日本酒歓評会 ゴールド受賞。
『菊水の純米大吟醸』
- 香り・味・口当たり・余韻:控えめな香りと、ふくよかな味幅があり、穏やかな酸味とともに喉越しよくキレがある。
- ペアリング:新潟県産ののどぐろ昆布〆を使った寿司。脂の乗りとシャリの酸に、酒の余韻が寄り添う。
- 受賞歴:Kura Master 2022 金賞。
『蔵光(くらみつ)』純米吟醸
- 香り・味・口当たり・余韻:青リンゴや洋梨のような果実香。口当たりはまろやかで、舌の上で米の旨味がじんわり広がる。余韻はやや長めで柔らかく、親しみやすい味わい。
- ペアリング:新潟産車麩の含め煮~白味噌あんかけ。繊細な甘みと酒の穏やかな酸味が絶妙な調和。
- 受賞歴:ワイングラスでおいしい日本酒アワード 入賞、地酒大show金賞。
レギュラー日本酒の展開(5銘柄)
- ふなぐち一番しぼり(生原酒缶)
- 日本初の缶入り生原酒。芳醇で濃厚、フルーティな味わいが特徴。冷やしてそのまま飲める利便性も魅力。
- 菊水の四段仕込 本醸造
- 飲み口の良い旨口酒。四段仕込によるやわらかな甘味とコクがあり、食中酒にぴったり。
- 辛口菊水 一番しぼり
- スッキリとした飲み口の定番酒。冷酒から燗まで幅広く対応。
- にごり酒 五郎八
- 秋冬限定のにごり酒。甘く濃厚でアルコール感もしっかり。地元では鍋物との相性で親しまれている。
- 蔵光(くらみつ)純米吟醸
- (プレミアム酒としても紹介)フルーティな香りとまろやかな旨味が調和。食中酒としても万能。
原料と地域性を活かした酒造り
- 使用酒米:新潟県産「五百万石」「越淡麗」「こしいぶき」などを中心に使用。淡麗ながら旨味を感じる酒質を実現。
- 仕込み水:飯豊連峰の伏流水(軟水)を地下80mから汲み上げて使用。滑らかでまろやかな口当たりを生む。
- 酵母:新潟酵母(G9、S3系)や自社培養酵母などを目的に応じて使い分け。
- 地域連携:新発田市の契約農家と連携した酒米づくりや、環境配慮型農業の導入なども積極的。
地元との連携・イベント事例
- 酒蔵開放イベント「蔵まつり」(例年4月中旬)
試飲、限定酒販売、地元グルメとのペアリングブースなどが設けられ、地元住民と観光客でにぎわう。 - 新発田市内レストランとのコラボ
フレンチやイタリアン店とペアリングコースを開発。「ふなぐち」を前菜に合わせるなど斬新な提案も。 - アート&サケ企画
地元アーティストとのコラボによる限定ラベルシリーズや陶器製ぐい呑みセットなども展開。
酒蔵の風景と訪問情報
- 見学の可否:予約制で酒蔵見学可(平日限定/ウェブ申込制)
- 直売所:「ふなぐち蔵」併設。試飲や限定商品の購入、ギフトセットも充実。
- 見どころ:明治期の蔵を活かした展示室では、菊水の歴史や酒造りの工程が映像と資料で学べる。
アクセス情報
- 住所:〒957-0011 新潟県新発田市島潟750
- 最寄駅:JR白新線「新発田駅」からタクシーで約10分
- 車:新潟市中心部から国道7号経由で約40分
- 空港:新潟空港から車で約50分(レンタカー推奨)
まとめ
菊水酒造は、140年以上の歴史と革新を併せ持つ、新潟酒の象徴的存在です。缶入り生原酒の先駆者でありながら、地域に根差した米作りや先端技術の導入も積極的。日常酒からプレミアムラインまで高品質を保ち続け、飲み手の期待を常に超える挑戦を重ねています。
これからも「毎日の一杯に感動を」という理念のもと、地域文化とともに進化を続ける存在として、国内外の日本酒ファンに新たな価値を届けてくれるでしょう。