廣木酒造本店(福島県会津若松市)

銘柄:「飛露喜」「泉川」などで知られる、福島酒を代表する革新派酒蔵


酒蔵の魅力と実績

歴史と立地の特徴

廣木酒造本店は、創業は江戸末期(約170年ほど前)、福島県会津若松市の閑静な住宅街・七日町エリアに位置しています。蔵元・廣木健司氏は、地元銘柄「泉川」を守りつつも、1999年に自らの理想を形にした新ブランド「飛露喜(ひろき)」を立ち上げ、全国的な評価を受ける酒蔵へと変貌を遂げました。

独自の酒造りへのこだわり

「飛露喜」誕生の背景には、地元農家との協業と無濾過生原酒というスタイルの先駆的な導入があります。特に、無濾過・無加水・瓶燗火入れにこだわり、フレッシュさと力強さを両立させた味わいを確立。冷蔵貯蔵設備や瓶詰ラインも独自に整備し、クオリティ管理にも妥協がありません。


プレミアム日本酒の展開と受賞歴

1. 飛露喜 純米大吟醸

  • テイスティングコメント:白桃やライチを思わせるアロマ。透明感のある旨みと柔らかな酸、品格のある余韻が特徴。
  • ペアリング:会津産馬肉の赤身タタキ(辛子味噌添え)。果実感が赤身の鉄分と好相性。

2. 飛露喜 特別純米 無濾過生原酒

  • テイスティングコメント:瑞々しい果実香と、米の膨らみを感じるふくよかな口当たり。若干のガス感があり、フレッシュな印象。
  • ペアリング:会津地鶏の炭火焼き+山椒塩。炭の香ばしさと生原酒の切れがマッチ。

3. 飛露喜 大吟醸

  • テイスティングコメント:デリケートな香り、洗練された透明感。米の甘みがゆっくりと伸び、静謐な余韻が続く。
  • ペアリング:檜枝岐村の裁ちそば(冷)と山菜天ぷら。繊細さを生かす食中酒。

※IWC・全国新酒鑑評会などで複数受賞歴あり


レギュラー日本酒の展開(5銘柄程度)

  1. 飛露喜 純米吟醸
  2. 飛露喜 特別純米 火入れ
  3. 泉川 純米吟醸
  4. 泉川 吟醸
  5. 泉川 純米酒

「泉川」は福島県内限定流通。特に泉川純米吟醸は「飛露喜と同じ造り」とも称される隠れた逸品。コストパフォーマンスにも優れます。


福島県産原料を活かした酒造り

酒米

  • 使用米は山田錦(兵庫・福島)、**五百万石(福島県会津産)**などを中心に、契約農家との連携により地元産比率を高めています。
  • 五百万石の軽快な特性を、無濾過生原酒スタイルで引き立てるのが特徴。

仕込み水・酵母

  • 仕込み水は飯豊山系の軟水を使用。やわらかく雑味が少ないため、きれいな酒質に仕上がります。
  • 酵母は蔵付きに加え、協会酵母の9号系・1801号などを適宜使用。

地域との連携

  • 地元農家との契約栽培が進み、「飛露喜」に用いる米の多くは福島県内産に移行済み。農家と技術交流も定期的に行われています。

地元との連携・イベント事例

  • 年1回、福島市や会津若松市で開催される「飛露喜の会」は、地元飲食店が料理とのペアリングを競う形式。
  • 会津漆器や地元陶芸作家との器コラボもあり、酒器との融合をテーマにした展示・販売も開催。

酒蔵の風景と訪問情報

見学・直売所

  • 現在、酒蔵見学は原則非公開。ただし、地域イベントや特別ツアーの際は一部公開されることもあります。
  • 直売所はなし。飛露喜は抽選販売を採用しており、正規特約店での購入が基本。

見どころ

  • 七日町の町並みに溶け込む歴史的木造建築の蔵は外観からでも風格あり。酒蔵前にて写真を撮る訪問者多数。

アクセス情報

  • 住所:〒965-0044 福島県会津若松市七日町2-45
  • 最寄駅:JR只見線 七日町駅から徒歩5分
  • 車:会津若松ICより約15分
  • 最寄空港:福島空港 → 郡山経由で会津若松へ(約2時間)

まとめ

廣木酒造本店は、福島県が誇る“次世代酒造り”の旗手として全国の日本酒ファンから支持を集める蔵です。酒造りへの真摯な姿勢と、地域との信頼関係の中で生まれる「飛露喜」「泉川」は、まさに“人と土地と技術”が融合した結晶。今後も地元食材との新たなペアリングや、国際的な評価の獲得が期待されます。