
三千櫻酒造の魅力と実績
140年以上の歴史を持つ老舗酒蔵である三千櫻酒造は、岐阜県中津川市から北海道上川郡東川町へと移転し、廃校を改装したユニークな酒蔵で新たな酒造りを展開しています。北海道産の酒米と大雪山系の伏流水を活かし、清涼感と米の旨味が調和した洗練された日本酒を生み出しています。特に「三千櫻 純米吟醸 彗星55」は、透明感のある味わいと穏やかな香りで人気を集めています。
三千櫻酒造は移転後も“米の個性を丁寧に引き出す酒造り”を理念とし、小規模ながらも質の高い酒を安定して生産。地元の農家や飲食店と密接に連携し、地域の食材とのマリアージュを意識した酒造りが評価されています。
特筆すべきは、廃校の旧校舎を再利用した酒蔵設備で、校舎の断熱性や気密性を活かし、自然な室温変化と最新の発酵管理技術を組み合わせた独自の発酵環境を確立している点です。また、発酵中の香気成分を逃さないために、天井の高い旧教室を生かしてタンク上部の空間を広く確保し、繊細な香りを活かした酒造りを行っています。人の手による丁寧な造りと、道産米の個性に寄り添うアプローチが、酒に優しい丸みと柔らかさをもたらしています。
本記事では、三千櫻酒造の人気日本酒と味わいの特徴、ペアリング事例、地元とのコラボレーション、そして訪問時のアクセス情報などを紹介します。
三千櫻酒造の取り組みと人気の日本酒
プレミアム日本酒の展開
三千櫻酒造では、北海道産酒米を用いた限定生産の高品質な日本酒を多数展開しています。
■ 三千櫻 純米吟醸 彗星55(北海道産彗星使用)
- テイスティングコメント:穏やかな吟醸香と青リンゴやメロンを思わせる果実香。軽やかで透明感があり、後味は非常にクリア。滑らかな口当たりが特徴で、幅広い料理と調和。
- ペアリング: ・南富良野産ズッキーニのグリルと山わさびソース ・砂川の米粉を使った塩味のクレープ(チーズとハーブ入り) ・剣淵産ひまわり畑ポークの冷しゃぶ
■ 三千櫻 純米 きたしずく(北海道産きたしずく使用)
- テイスティングコメント:控えめな香りとともに、飲み口はキレのある辛口。じわじわと広がる米の旨味とミネラル感が心地よく、食中酒に最適。
- ペアリング: ・美瑛産ビーツの甘酢漬け ・滝川産鴨のたたきと長ねぎのサラダ仕立て ・東川町産手作りがんもどきの炊き合わせ
■ 三千櫻 純米大吟醸 彗星40(蔵限定・数量限定)
- テイスティングコメント:フローラルで繊細な香りと柔らかい甘み。ボディは軽やかだが、後口に米の旨味がしっかり残るエレガントな仕上がり。
- ペアリング: ・和寒町産行者にんにくと帆立の酒蒸し ・オホーツク海産つぶ貝の山椒和え ・名寄産かぼちゃのムースと味噌チーズディップ
レギュラー日本酒の展開
日常で楽しめる純米酒も安定した品質で、地元住民や観光客からも支持を集めています。
■ 三千櫻 純米 彗星(定番酒)
- テイスティングコメント:シャープな酸味と軽快な飲み口。冷酒でキリっと、常温ではふくらみのある米の旨味が楽しめる。
- ペアリング: ・剣淵町産金時豆とハーブの冷製煮込み ・富良野産アスパラのオイル焼きと卵黄ソース
■ 三千櫻 特別純米 吟風
- テイスティングコメント:程よいボディ感とコク。余韻にかけて米の甘みが心地よく続く。
- ペアリング: ・上富良野産ラベンダーポークのローストと粒マスタード ・上川町産きのこたっぷりの味噌鍋
北海道産原料を活かした酒造り
三千櫻酒造では、以下の北海道産酒米を中心に使用:
- 彗星:クリアで軽快な酸味
- きたしずく:ふんわりとした旨味とフルーティーな香り
- 吟風:コクがあり、幅のある味わいを生み出す
仕込み水には、大雪山系の伏流水(軟水)を使用。酒質にやわらかさと丸みを与え、口当たりのよい酒を実現しています。
地元との連携・イベント事例
- 東川町「おうちごはん縁」にて、三千櫻とのペアリングディナーを定期開催(春・秋)。道産野菜や魚介との絶妙な組み合わせで好評。
- 旭川「酒肴あお井」では、三千櫻のレギュラー酒を料理に合わせて常時提供中(通年)。
酒蔵の風景と訪問情報
旧・東川第三小学校の校舎を改修して誕生した酒蔵は、木造校舎の温かみを残しながらも、最新の酒造設備を備えた施設です。内装には黒板や教室のドアも一部残されており、ノスタルジーと先進性が同居する空間となっています。売店や見学施設も併設され、試飲・購入が可能です(※要予約)。
アクセス情報
- 住所:〒071-1426 北海道上川郡東川町西5号北23番地
- JR:JR旭川駅から車で約25分
- 空港:旭川空港から車で約15分
- 車:旭川市内中心部から国道1160号経由で約30分
- 備考:蔵見学・試飲は事前予約制。直売所併設、季節限定品も販売。
まとめ
三千櫻酒造は、伝統と革新を融合させた北海道の新進気鋭の酒蔵です。岐阜から東川町へと拠点を移し、地元の自然・人・米・水を最大限に活かす酒造りに取り組む姿勢は、日本酒業界の中でも注目されています。今後も北海道ならではのテロワールを反映した日本酒を発信し続けることでしょう。
