青木酒造(新潟県南魚沼市)

雪国が育む名水と米の恵み。八海山の麓で磨かれる酒造りの真髄


酒蔵の魅力と実績

青木酒造は、1717年(享保2年)創業の老舗酒蔵で、新潟県南魚沼市の塩沢地区に位置します。この地域は越後三山のひとつ「八海山」を望む豪雪地帯で、清冽な雪解け水と良質な酒米が揃う、まさに日本酒造りに最適な土地です。

代表銘柄「鶴齢(かくれい)」は、新潟淡麗辛口の枠に収まらない、ふくよかで旨みのある味わいが特徴。近年では、低精白の純米酒や生酛造りなども積極的に取り入れ、クラシカルな技と現代的感覚の両立を実現しています。Kura MasterやIWCなどの国際コンペでも高評価を得ており、雪国の実直な酒造りを象徴する存在として国内外から注目されています。


プレミアム日本酒の展開(3銘柄)

1. 鶴齢 純米大吟醸 山田錦 35%

  • テイスティングコメント
     ライチや白桃のような芳醇な吟醸香。口に含むとしっとりとした甘みとともに、丸みのある酸味が広がり、長く上品な余韻が残る。非常にエレガントでバランスの取れた一本。
  • ペアリング提案
     南魚沼産「深雪もち豚」の塩焼き。繊細な脂の甘みと、酒の優しい甘旨味が口中で溶け合う上品なマリアージュ。

2. 鶴齢 特別純米 無濾過生原酒 五百万石

  • テイスティングコメント
     開栓直後はジューシーなメロン香、時間とともに米の旨味とコクが顔を出す。骨格のある酒質で、やや濃いめの味付けにも負けない存在感。
  • ペアリング提案
     越後名物「鮭の酒びたし」との相性抜群。発酵のうまみと生原酒のパワーがしっかり噛み合う。

3. 鶴齢 雪男 純米酒

  • テイスティングコメント
     やや辛口のすっきり系。口当たりは軽快で、後味にかすかな苦みとキレがある。飲み飽きしない酒。
  • ペアリング提案
     新潟郷土料理「のっぺい汁」。根菜の甘味と出汁のうまみを、雪男の爽快さが包み込む。

レギュラー日本酒の展開(5銘柄)

● 鶴齢 純米吟醸 雄町

  • 優しい甘みと芯のあるコクが特長。おだやかな吟醸香で、冷酒・常温どちらでも楽しめる。
    ※Kura Master 純米酒部門 金賞受賞

● 鶴齢 純米 超辛口

  • 雪国らしいキレのある辛口だが、米の旨味を損なわない設計。燗でも力を発揮。

● 鶴齢 にごり酒

  • フレッシュで軽快なにごりタイプ。米の甘みと炭酸感のバランスが良く、食前酒にも最適。

● 鶴齢 特別本醸造

  • 地元向けのロングセラー。米の旨味を残しつつ、飲み口は軽くすっきり。

● 鶴齢 純米吟醸 美山錦

  • 花のような穏やかな香りと柔らかい酸味が特長。和野菜の煮物や天ぷらと好相性。

新潟産原料を活かした酒造り

使用酒米と味の傾向

・新潟県産の五百万石、美山錦、越淡麗、雄町などを使用。
・基本は端正で柔らかく、雑味がなくクリーンな酒質設計。精米歩合によって異なる個性を演出。

仕込み水・酵母

・八海山の雪解け水を源流とする「尾瀬系軟水」を使用。柔らかくミネラル感の少ない水が、きれいな酒質に貢献。
・協会1801酵母や自社培養酵母を併用し、香りと味のバランスを追求。

地元農家・地域との連携

・南魚沼の契約農家と連携し、酒米栽培に取り組む。とくに無農薬・減農薬での挑戦が評価されている。
・「鶴齢の田んぼプロジェクト」では地元の子供や観光客も田植えに参加し、地域一体となった米作りを推進。


地元との連携・イベント事例

  • 「鶴齢 蔵開き」(毎年2月開催)
     しぼりたての新酒や限定酒の試飲販売、蔵見学、地元屋台とのコラボが人気。
  • 雪男祭り(毎年12月)
     雪中熟成酒の試飲や雪だるま作り、地元食材を活かした屋外ペアリングイベント。
  • 酒×地域料理のペアリングディナー
     南魚沼市内の割烹やフレンチレストランと年2回開催。越後の野菜や発酵食品と鶴齢の多様な酒質の相性を探る。

酒蔵の風景と訪問情報

見学の可否・直売所の有無

・蔵見学は年数回の特別イベント時のみ実施(通常非公開)
・直売所「青木酒造 鶴齢の蔵」では試飲・購入が可能。数量限定品も取り扱い。

見どころ

・雪に包まれる季節の酒蔵風景は圧巻。
・石蔵造りの仕込み場と、雪室を活かした酒の貯蔵環境。

アクセス情報

  • 住所:新潟県南魚沼市塩沢1214
  • 最寄駅:JR上越線「塩沢駅」より徒歩約5分
  • 車アクセス:関越自動車道「六日町IC」より車で約10分
  • 最寄空港:新潟空港から車で約2時間

まとめ|雪と水と米が醸す、南魚沼の魂

青木酒造は、八海山の恵みと雪国の知恵を背景に、300年近い酒造りの歴史を守り続けています。その一方で、低精白や無濾過生原酒、生酛造りといった現代的な挑戦も進めており、クラシカルと革新が共存する稀有な酒蔵です。南魚沼という土地との強い結びつきのなかで育まれる鶴齢の酒は、これからも地域とともに未来へと歩んでいくことでしょう。