新潟|朝日酒造株式会社

— 新潟の自然と共に進化を続ける「久保田」の蔵元 —


酒蔵の魅力と実績

歴史と立地の特徴

朝日酒造は1830年(天保元年)創業、越後長岡の地に根ざした酒蔵です。越後平野を潤す清流・五十嵐川のほとりに位置し、米どころ新潟の中でも特に良質な酒米の産地に囲まれています。1985年には革新的ブランド「久保田」を発表し、淡麗辛口ブームを牽引しました。

独自の酒造りへのこだわり

「品質第一、伝統と革新の融合」を掲げ、手仕事を重視しながらも最新の醸造技術を導入。特に温度管理・麹菌管理に関しては、自社開発の微細な制御システムを活用し、安定した高品質酒の製造を実現しています。発酵タンクも大小さまざまに分かれており、銘柄ごとの最適条件を追求。


プレミアム日本酒の展開と受賞歴(例:3銘柄)

1. 久保田 萬寿(純米大吟醸)

  • テイスティングコメント
    白桃や洋梨を思わせる華やかな香りと、柔らかな口当たり。旨味とキレのバランスが秀逸で、淡麗ながら深いコクをもつ。
  • ペアリング提案
    地元長岡の名物「のっぺ汁」や、越後もち豚の塩麹ローストと。旨味がぶつかり合わず、繊細な酒質と調和。

2. 朝日山 天籟 越淡麗(純米大吟醸)

  • テイスティングコメント
    ふくよかな吟醸香と、越淡麗特有の厚みある旨味。喉ごしは滑らかで、余韻にほのかな苦味が心地よく残る。
  • ペアリング提案
    新潟産ずわい蟹の味噌和えや、鰈の一夜干しに柚子を添えて。香りと旨味のレイヤーが重なる相性。

3. 津南 純米大吟醸(地域限定流通)

  • テイスティングコメント
    雪室で熟成された柔らかなテクスチャ。穏やかな吟醸香とクリーミーな旨味が調和。
  • ペアリング提案
    津南高原野菜のバーニャカウダ、または地元産こごみと山ウドの天ぷらなど、春の山菜料理と。

レギュラー日本酒の展開と受賞歴(例:5銘柄)

  • 久保田 千寿(特別本醸造)
    シャープでキレのある味わい。冷酒から燗まで対応力が高く、2023年全国燗酒コンテスト金賞。
  • 朝日山 百寿盃(本醸造)
    地元で「晩酌酒」として親しまれる一本。まろやかな米の甘味とスッキリした後味が魅力。
  • 越州 各シリーズ(壱乃井〜参乃井など)
    地元産酒米「千秋楽」を使用し、芳醇でコクのあるラインアップ。IWC Sake部門でも入賞。
  • 久保田 純米大吟醸
    近年リリースされた新世代「久保田」。洋食とも合わせやすく、海外評価も高い。
  • ゆく年くる年(季節限定)
    毎年デザインが変わる干支ラベルで、贈答品需要も高い。味わいはまろやかで米の旨味がしっかり。

北海道産または地域産原料を活かした酒造り

酒米の種類・味の傾向

主に使用される酒米は「五百万石」「越淡麗」「山田錦」「千秋楽」。いずれも新潟県内または隣接地域で契約栽培され、特に越淡麗は朝日酒造が開発に深く関わった酒米で、繊細でクリアな味わいをもたらします。

仕込み水・酵母など

仕込み水は五十嵐川の伏流水で、超軟水。これにより滑らかで柔らかな口当たりが生まれます。使用酵母は自社分離の酵母に加え、協会酵母(特に9号、14号)を目的に応じて使い分けています。

地元農家や地域との連携

長岡市内の契約農家と共同で米作りを行い、無農薬や特別栽培にも積極的に取り組んでいます。また、地元中学生・高校生との交流イベントや稲刈り体験なども行い、地域に根差した酒造りを実践。


地元との連携・イベント事例

  • 久保田ナイト in 長岡(毎年秋)
    長岡駅周辺の飲食店と連携し、久保田と地元料理を楽しむ夜。観光客・地元民ともに人気。
  • 酒米稲刈り体験(9月)
    ファミリー向けイベントで、収穫体験後に試飲や酒粕料理を提供。
  • 雪蔵開き(3月)
    雪室で熟成された酒の試飲と見学会。酒器や陶芸の販売もあり、芸術文化との交流の場にも。

酒蔵の風景と訪問情報

見学・直売所

  • 見学:不可(一般向けは行っていません)
  • 直売所:あり(朝日酒造 蔵元直売店「久保田」)
    • 試飲・販売のほか、限定商品も入手可能

見どころ

  • 和モダンな直売所と周囲の水田風景。冬は一面の雪景色に包まれ、幻想的な雰囲気。

アクセス

  • 住所: 新潟県長岡市朝日880-1
  • 最寄駅: JR長岡駅から車で約20分(タクシーまたはレンタカー推奨)
  • 最寄空港: 新潟空港から車で約1時間30分
  • 駐車場: 有(無料)

まとめ

朝日酒造は、新潟の伝統と革新を象徴する酒蔵として、国内外で高い評価を受けてきました。特に「久保田」は、淡麗辛口の代名詞として知られ、日本酒ブームを作った立役者の一つでもあります。

地域と深く結びつきながら、農業・食文化・観光の架け橋となる姿勢は、これからの酒蔵のあるべき姿を示していると言えるでしょう。今後はより一層、越後の風土を生かしたプレミアム酒の開発にも期待がかかります。