上川大雪 碧雲蔵 — 北海道・帯広で拓く酒造りの未来

酒蔵の魅力と実績
歴史と立地の特徴
「上川大雪酒造 碧雲蔵(へきうんぐら)」は、2022年に北海道・帯広市に誕生した上川大雪酒造の第三の蔵です。第一の蔵は上川町の「緑丘蔵」、第二は函館の「五稜乃蔵」。そしてこの碧雲蔵は、明治期に設立された帯広畜産大学の構内という唯一無二の立地にあります。歴史ある赤レンガ造りの建物を再生し、学術的環境と融合した酒造りを行っているのが特徴です。
帯広という十勝の中心地に位置することで、道東全体の農産物や気候特性を活かした酒造りが可能となっています。都市部に近く、一般来訪者にも開かれた環境で、地域と日本酒文化の架け橋を目指しています。
独自の酒造りへのこだわり
碧雲蔵の最大の特徴は、帯広畜産大学との連携による「アカデミックな酒造り」です。大学の知見と若手蔵人の情熱が融合し、新しい世代に向けた革新的かつ本格的な酒を追求しています。設備は最新式の小仕込みタンクと温度管理装置を備え、少量多品種の挑戦を可能にしています。
「北海道の地酒」を超え、「世界に通用する日本酒」を志す上川大雪酒造。その中でも碧雲蔵は、若手育成、農業支援、地域観光活性といった多面的なビジョンを担っています。
プレミアム日本酒の展開と受賞歴
銘柄1:碧雲 純米大吟醸 彗星 40
- テイスティングコメント:洋ナシや白い花の香りが華やかに広がり、口に含むと柔らかな甘みとキリっとした酸が心地よく調和。非常にクリーンな余韻が長く続きます。
- ペアリング:十勝産白カブのすり流しにホタテの炙りを浮かべた冷製スープ。やさしい甘みと酸味のバランスが絶妙で、酒の透明感を際立たせます。
銘柄2:碧雲 純米吟醸 きたしずく 50
- テイスティングコメント:グレープフルーツやライチを思わせる爽快な香りと、口当たりの柔らかさが特徴。程よいボディ感とミネラル感があり、キレの良さが光ります。
- ペアリング:池田町産アスパラのフリットとミモレットチーズ。酒の酸味と旨味が、チーズのコクと絶妙に絡みます。
銘柄3:碧雲 木桶仕込み 純米酒
- テイスティングコメント:木桶仕込みならではの柔らかく奥深い香り。バナナやナッツ、わずかな乳酸のニュアンスがあり、口中で広がる複雑な旨味が特徴。
- ペアリング:帯広名物「豚丼」に山わさびを添えて。脂の旨味と酒の渋味・酸味が絶妙なバランスを取ります。
※受賞歴:まだ新設蔵のため全国的な賞は少ないが、北海道酒造組合主催の地酒品評会にて高評価多数。
レギュラー日本酒の展開と評価
銘柄と特徴
- 碧雲 特別純米 十勝産吟風
バランスの取れた旨味とふくらみ。地元の定食にぴったり。 - 碧雲 純米 きたしずく使用
軽やかで香り控えめ、日々の晩酌に適した食中酒。 - 碧雲 生酛仕込み
酸味とコクをしっかり感じるクラシックな一本。 - 碧雲 活性にごり酒
しゅわしゅわ感が心地よい春の限定酒。唐揚げとの相性抜群。 - 碧雲 しぼりたて無濾過生原酒
フレッシュさとボリューム感があり、肉料理にも負けない力強さ。
北海道産・地域産原料を活かした酒造り
使用米・味の傾向
碧雲蔵では「きたしずく」「吟風」「彗星」といった北海道産酒造好適米を中心に使用。彗星は軽快な味わい、きたしずくは柔らかで香り高く、吟風は旨味とコクがしっかりしています。
仕込み水・酵母の特徴
仕込み水には十勝の伏流水を使用し、やや硬度のある水質が味に芯を与えています。酵母は協会酵母1801を中心に、香り系・旨味系双方を使い分けています。
地域との連携
帯広畜産大学の研究室と共同で土壌分析や酵母分離研究を実施。地元農家との契約栽培を進め、酒米の安定供給と品質向上に寄与。農業支援の一環として、学生のインターン受け入れも行っています。
地元との連携・イベント事例
- 碧雲蔵 × 帯広畜産大学:酒とチーズのペアリングナイト(2023年11月)
十勝産のナチュラルチーズと日本酒のマリアージュイベント。 - 帯広冬の酒フェス参加(2024年2月)
地元飲食店とのコラボブース出展、豚丼や鹿肉料理とのマリアージュ提案が好評。 - 帯広駅前の人気イタリアンとコラボ試飲会(2024年5月予定)
北海道ワインと日本酒の比較テイスティング企画を計画中。
酒蔵の風景と訪問情報
- 見学可否:現在は大学構内のため見学制限あり(イベント時は一部公開)。
- 直売所:敷地内に販売スペースあり。試飲も可能(不定休)。
- 建物の見どころ:赤レンガの蔵と大学構内の自然が融合する独特の雰囲気。
- 住所:北海道帯広市稲田町西2線16番地(帯広畜産大学構内)
- アクセス:JR帯広駅から車で15分。とかち帯広空港から車で25分。
まとめ
碧雲蔵は、北海道の農業と学術研究を融合させた新しいスタイルの酒蔵です。地域との結びつきを重視し、若手蔵人と大学の連携によって未来志向の酒造りを行っています。今後、世界に誇れる「学びと発信の場」として、北海道産日本酒の新たなシンボルになることが期待されます。
補足:帯広の食文化について
帯広は定食屋から専門店まで食のレベルが非常に高く、訪れた管理人は「何を食べてもおいしい」と感じました。特に豚丼は複数の名店を訪れましたが、どこも個性があり、すべて絶品でした。これについては別記事で詳しくご紹介したいと思います。



