(福井県鯖江市)|名水と伝統技術が生む「梵」の世界
酒蔵の魅力と実績
歴史、立地の特徴
加藤吉平商店は、1856年(安政3年)に創業した福井県鯖江市の老舗酒蔵です。日本海と山々に囲まれた自然豊かな土地にあり、冬の厳しい寒さと清らかな伏流水を活かした酒造りを続けています。「梵(ぼん)」という銘柄は、仏教の根源語「梵天」に由来し、国際舞台でも数々の賞を受けるなど、日本を代表する純米大吟醸の名蔵として知られています。
独自の酒造りへのこだわり
設備・製法・哲学
加藤吉平商店では、すべての日本酒を純米造りで仕上げ、醸造アルコールは一切使いません。超低温での長期熟成を行い、冷蔵貯蔵による安定した品質管理を徹底。特に-10℃の専用冷蔵庫での熟成は、香りと味わいの調和を生み出します。加えて、仕込みには地下180メートルから汲み上げた超軟水の天然水を使用し、酒米も厳選された山田錦・五百万石などを採用。伝統と先端技術の融合により、極めて高品質な日本酒を生み出しています。
プレミアム日本酒の展開(3銘柄)
1. 梵・超吟
テイスティングコメント:
透明感のあるメロンや洋梨のような香り。口当たりは絹のように滑らかで、熟成由来の落ち着いた旨みと奥行きある酸味が広がります。余韻は非常に長く、甘味と酸味が調和した心地よいフィニッシュ。
ペアリング:
越前ガニの酢の物、若狭牛のタルタル風(卵黄・柑橘添え)など、繊細かつ旨味のある地元食材と好相性。
2. 梵・夢は正夢
テイスティングコメント:
熟れた白桃と白ブドウのアロマ。冷やでも温度が上がるにつれて蜜のようなコクが現れ、酸とのバランスが美しい。余韻には樽由来のニュアンスを思わせる滑らかさも感じる。
ペアリング:
若狭湾産のアマダイの昆布締め、または鯖江市の郷土料理「けんけら」などとの和のスイーツペアリングもおすすめ。
3. 梵・KURAMITSU
テイスティングコメント:
上品な吟醸香に、マンゴーやアプリコットのような熟した果実味。温度帯を選ばず美味しさが開花し、非常に滑らかな舌触りと包み込むような旨味を楽しめます。
ペアリング:
若狭の鯛の塩釜焼き、または軽く燻製にした地元産のイカとのペアリングは唯一無二の体験。
レギュラー日本酒の展開(5銘柄)
1. 梵・ときしらず
香りは控えめで、スッキリとした酸と辛口のキレが特徴。地元料理「鯖のへしこ」との相性抜群。
2. 梵・艶
冷やでも燗でも美味しく楽しめる万能酒。焼き鯖寿司など地元グルメと合わせたい。
3. 梵・無濾過純米
米の旨味をストレートに味わえる。冬季限定の「水ようかん」との甘塩ペアリングも秀逸。
4. 梵・辛口純米
スパッとしたキレのある辛口。越前そばと合わせると蕎麦の香りが引き立つ。
5. 梵・吟撰
コストパフォーマンスに優れた逸品。地元の新鮮な野菜天ぷらと相性良し。
地元原料を活かした酒造り
使用する酒米と味の傾向
使用米の中心は兵庫県産特A地区の山田錦や、福井県産の五百万石。前者は優雅な香りと繊細な甘味、後者はしっかりとした骨格とキレが持ち味です。
仕込み水・酵母の特徴
仕込み水は、蔵の地下180mから汲み上げる超軟水。これが柔らかく滑らかな酒質を可能にし、長期低温発酵により香り高くふくよかな味わいに仕上がります。
地元との連携・農家との関係
一部銘柄には福井県産米を使用し、県内の契約農家と連携。地元農家とともに育てた米で、「地の米・地の水・地の技」による酒造りを実践しています。
地元との連携・イベント事例
- 福井県内飲食店とのコラボメニュー提供
福井市や鯖江市の割烹・寿司店と提携し、限定コースにて「梵」のペアリングが提供されることも。 - 全国でのペアリングイベント
東京や大阪での百貨店催事に加え、地元での「梵の夕べ」といったイベントも不定期開催。 - 美術館・茶道家元とのコラボ企画
地元文化との融合を図るユニークな取り組みもあり、日本文化の発信拠点としての役割も担っています。
酒蔵の風景と訪問情報
見学の可否・直売所の有無
通常見学は予約制で可能。見学ルートには製造エリアに加え、熟成庫や資料館も含まれます。直売所では限定酒や酒器も購入可能。
見どころ
歴史ある酒蔵建築、-10℃の熟成冷蔵庫、酒の仕込みの香りが漂う作業場など、五感で楽しめる蔵見学。
アクセス
- 住所: 福井県鯖江市吉江町1-11
- 最寄駅: JR北鯖江駅から車で約10分
- 車: 北陸自動車道「鯖江IC」から約15分
- 空港: 小松空港から車で約1時間30分
まとめ
加藤吉平商店は、日本酒の世界的評価を牽引する蔵元のひとつ。海外展開も積極的に行いながらも、「地元の水・米・人」に根ざした丁寧な酒造りを貫いています。「梵」という銘柄に込められた精神性と完成度の高さは、まさに現代の日本酒の象徴ともいえる存在です。今後もその動向に注目が集まります。