(滋賀県湖南市)

— 湖東の地で受け継がれる伝統と挑戦の融合 —

酒蔵の魅力と実績

歴史と立地の特徴

北島酒造は、滋賀県湖南市に位置する創業1805年(文化2年)の歴史ある酒蔵です。琵琶湖の南東に広がる湖東平野は、豊かな水と良質な米の産地として知られ、古来より酒造りに適した土地柄を有しています。北島酒造もこの地の利を活かし、200年以上にわたり伝統を守りながらも、近年では現代的な感性を取り入れた酒造りで注目されています。

独自の酒造りへのこだわり

北島酒造では、伝統的な山廃仕込みをはじめとした手造りの酒造りにこだわりつつも、酵母や醸造温度、熟成方法に対して革新的なアプローチを行っています。とくに発酵管理では、昔ながらの麹蓋を用いた丁寧な麹造りにこだわり、少量生産ならではの繊細な味わいを実現。蔵の規模は決して大きくありませんが、その分一滴一滴に魂が込められています。


プレミアム日本酒の展開(3銘柄)

『御代栄 山廃純米吟醸 無濾過生原酒』

  • テイスティングコメント
     香りは穏やかながら深みがあり、干し椎茸やカカオのような熟成香。口に含むとどっしりとした旨味が広がり、後半にかけてキレのある酸が全体を引き締める。余韻にはビターな渋みが残り、食中酒としてのポテンシャルが高い。
  • ペアリング提案
     地元・湖南市特産の「赤こんにゃくの炙り田楽」や、近江牛のしぐれ煮との相性が抜群。滋味深い料理とのマッチングで旨味が相乗する。

『北島 BLACK 純米大吟醸』

  • テイスティングコメント
     青リンゴやマスカットを思わせるフルーティなアロマに、シャープな酸とクリアな旨味が調和。口当たりは滑らかで、全体的にスタイリッシュな印象。
  • ペアリング提案
     滋賀県産ビワマスのカルパッチョや、地元野菜を使った洋風ピクルスと好相性。冷やしてワイングラスで楽しむのがおすすめ。

『北島 kuramitsu 生酛純米 無濾過生原酒』

  • テイスティングコメント
     野性的かつ複雑な香りに、力強い酸と旨味が共存。野趣を感じさせる中に繊細なニュアンスも見え隠れし、まさに玄人好みの一本。
  • ペアリング提案
     東近江の名物「日野菜漬け」や、鯖のへしこと合わせることで、独特の乳酸感と塩味が絶妙に絡む。

レギュラー日本酒の展開(5銘柄)

  • 御代栄 特別純米酒
     食中酒の王道、米の甘みと酸味のバランスが秀逸。
  • 北島 純米酒 山田錦
     ふくよかで優しい味わい、温度帯によって表情が変わる。
  • 北島 雄町 生原酒
     旨味の厚みがありながら、キレの良さで飲み飽きない。
  • 北島 純米吟醸 直汲み生
     しぼりたての鮮烈なガス感とフルーティなアロマ。
  • 御代栄 本醸造
     地元で長年親しまれてきた定番、ぬる燗で味わいたい。

いずれも滋賀の自然と人の手によって育まれた、個性豊かなラインナップです。


地域原料を活かした酒造り

使用酒米と味の傾向

滋賀県産の酒米「吟吹雪」「玉栄」や「山田錦」を主に使用。玉栄は、酸と旨味のバランスが取りやすく、山廃や生酛仕込みとの相性も良好。

仕込み水・酵母

鈴鹿山系の伏流水を仕込み水として使用。中硬水に分類される水質は、しっかりとしたボディのある酒を生み出します。酵母は蔵付きや協会9号系などを用途に応じて使い分け、特に山廃・生酛では自然発酵を尊重したスタイルを貫いています。

地元農家との連携

湖南地域の契約農家とともに「玉栄」の栽培に取り組み、土壌・気候に合わせた米づくりを実践。地域の持続可能な農業にも貢献しています。


地元との連携・イベント事例

  • 地元飲食店とのコラボメニュー
     湖南市の郷土料理店「うを惣」とのコラボで、北島酒造の日本酒を使った「酒粕鍋」や「吟醸酒のブリ照り焼き」を提供。
  • イベント
     毎年3月に「蔵開きイベント」を開催(2024年は3月16日開催)、新酒の試飲や蔵見学、地元産品の販売などで地域の賑わいを創出。

酒蔵の風景と訪問情報

見学の可否・直売所の有無

事前予約にて蔵見学が可能。麹室や仕込み蔵の見学のほか、試飲コーナー・直売所も併設。

見どころ

白壁の蔵造りと、酒樽が並ぶ木造の熟成庫は風情満点。冬場の蒸気が立ち上る仕込み風景は一見の価値あり。

アクセス情報

  • 住所:滋賀県湖南市石部中央1丁目6−5
  • 最寄駅:JR草津線「石部駅」より徒歩8分
  • 車利用:名神高速「栗東IC」より15分
  • 空港から:関西国際空港から約1時間30分(電車と車併用)

まとめ

北島酒造は、湖東の風土に根ざしながら、山廃・生酛といった伝統的手法に革新を加えた、まさに“新しい古典”を体現する酒蔵です。規模は小さくとも、丁寧な酒造りと地域との深い関わりにより、近年では全国の日本酒ファンからも熱い視線が注がれています。

今後は、海外展開や新たな熟成スタイルへの挑戦など、さらなる飛躍が期待される注目の蔵元といえるでしょう。