下村酒造店(兵庫県姫路市)
酒蔵の魅力と実績
酒蔵の歴史、立地の特徴
下村酒造店は、兵庫県姫路市安富町にて1877年(明治10年)に創業した老舗酒蔵です。中国山地の麓に位置し、自然豊かな山間地域の冷涼な気候と清流千種川の伏流水に恵まれた地で、伝統的な酒造りを行っています。地元では「奥播磨(おくはりま)」の銘柄で親しまれており、「米の旨味を最大限に引き出す」純米酒造りを一貫して追求しています。
独自の酒造りへのこだわり
設備・製法・哲学
下村酒造店は、「純米蔵宣言」のもと、吟醸酒以上の酒も含めて全量を純米酒で展開。香りよりも“味のふくらみ”と“キレ”を重視し、自然な発酵を見守るような丁寧な酒造りを続けています。
・麹は手造りによる箱麹法で丁寧に育てる。 ・発酵は木桶やホーロータンクによる小仕込みで徹底管理。 ・搾りは槽しぼりを主とし、無濾過生原酒として出荷される銘柄も多い。
酒質は米の旨味がしっかりとありながらも後キレがよく、食中酒として優れています。
プレミアム日本酒の展開(3銘柄程度)
奥播磨 純米吟醸 芳醇超辛
テイスティングコメント:香りは控えめながら、口に含むと力強い米の旨味と共に鋭いキレが走る。まさに食と共に楽しむための辛口酒。 ペアリング:地元・播磨の猪肉ロースの炭火焼。ジビエの野性味と酒の辛口が対照的に引き立て合う。
奥播磨 純米大吟醸 山田錦35%磨き
テイスティングコメント:香りは穏やかで、優しく広がる旨味と透明感のある後口が特徴。派手さを排した静謐な1本。 ペアリング:姫路産天然鮎の塩焼き。旨味の重なりと余韻の調和を堪能。
奥播磨 伝授(特別限定酒)
テイスティングコメント:無濾過生原酒の芳醇な旨味と野性味を兼ね備えた濃醇辛口。濃い味付けの料理にも負けない酒質。 ペアリング:地元産「もち麦入り鯖味噌煮」。濃い味噌に旨味が溶け込み、酒がしっかりと受け止める。
レギュラー日本酒の展開(5銘柄程度)
奥播磨 山廃純米
どっしりとした酸と米の旨味が特徴。鍋料理や煮込み料理との相性抜群。
奥播磨 純米 播磨産夢錦使用
地域限定流通酒。地元産の夢錦の特性を活かした、ふくよかで包み込むような味わい。
奥播磨 純米吟醸 おりがらみ
フレッシュでピチピチとしたガス感が楽しい。旬の野菜料理とよく合う。
奥播磨 夏の芳醇超辛(季節限定)
爽快な口当たりとキレ。冷酒向けのドライな味わい。
奥播磨 にごり純米
微発泡感を残した濁り酒。冬季限定。地元の大根おろし鍋との相性が抜群。
地域産原料を活かした酒造り
使用している酒米の種類・味の傾向
・山田錦(兵庫県産)…高精白に耐える上品でバランスの良い味わい。 ・夢錦(姫路市安富町産)…ふくよかで優しい口当たり。 ・兵庫北錦…酸と旨味のバランスが取れた酒質を生む。
仕込み水・酵母などの特徴
千種川水系の伏流水を使用。中軟水で口当たりが柔らかく、米の甘味を引き出す特性があります。酵母は協会7号系をベースに、蔵付き酵母を併用することも。
地元農家や地域との連携
安富町の農家と契約栽培で夢錦を生産し、酒米と地元経済の循環を目指す「酒米テロワール」の実践者。地元の高校や農業体験団体と連携した“田植え・稲刈り体験×酒造りプロジェクト”も実施。
地元との連携・イベント事例
・「奥播磨と播磨の恵みを味わう夕べ」:姫路の地元飲食店と共催で開催(毎年秋) ・「仕込み体験&蔵開き」:2月上旬、数量限定参加型イベント ・「姫路テロワールマルシェ」:地元の野菜や加工品とのペアリングイベントに定期出展
酒蔵の風景と訪問情報
見学の可否・直売所の有無
・見学:事前予約制(収穫期・仕込み期以外) ・直売所:あり(限定酒やグッズの販売も)
見どころ
・築140年を超える木造蔵と現代的な仕込み室の共存 ・目の前を流れる清流と山の稜線が作り出す自然美 ・仕込み蔵から漂う麹の香り
アクセス情報
住所:〒671-2416 兵庫県姫路市安富町安志957
最寄駅:JR姫新線「余部駅」より車で約20分
車:中国自動車道「山崎IC」より約15分
空港:神戸空港より車で約1時間40分/関西国際空港より約2時間
まとめ
下村酒造店は、「食に寄り添う酒」「米の味を活かした酒」を地道に追求し続けている兵庫・奥播磨の名蔵です。安富町というローカルな土地と、そこで育まれる人・米・水が見事に一体となり、酒としての個性を生み出しています。今後も播磨のテロワールを体現する蔵として、国内外にその魅力を発信し続けていくことが期待されます。