楯の川酒造|全量純米大吟醸の革新蔵、山形から世界へ

酒蔵の魅力と実績

山形県酒田市に蔵を構える「楯の川酒造」は、全国に先駆けて全量純米大吟醸蔵へと転換した先駆的な酒蔵。200年以上の歴史を持ちつつも、伝統に甘んじることなく、革新的な技術と国際志向で新たな日本酒像を切り拓いています。アメリカ、フランス、香港などでも高い評価を受け、Kura MasterやIWCでの受賞歴も豊富。山形のテロワールを世界へ届ける存在として注目されています。

酒蔵の歴史、立地の特徴

創業は1832年。最上川と鳥海山に抱かれる酒田市の自然環境は、豊かな水と寒暖差のある気候に恵まれ、酒造りに理想的。2010年代に六代目蔵元・佐藤淳平氏の指導のもと、全量純米大吟醸への大転換を実施。「量より質」への覚悟を持ち、精米・製麹・仕込みに至るまで徹底的にクオリティを追求しています。

独自の酒造りへのこだわり

最新鋭の全自動精米機を導入し、自社で酒米を35%以下まで高精白。さらに、製麹・もろみ管理にもデジタル技術と職人技を融合させ、香り高く、透明感のある酒質を実現しています。また、原料のトレーサビリティにも力を入れ、契約農家との協働で山形産酒米の価値を高めています。


プレミアム日本酒の展開

楯野川 光明(こうみょう)

  • テイスティングコメント:精米歩合1%の超高精白酒。メロンや洋梨のような華やかな香りと、研ぎ澄まされたクリスタルのような口当たり。雑味ゼロの滑らかさと、長い余韻が特徴。
  • ペアリング:庄内浜産アカムツの昆布締め。脂の旨みと酒の透明感が見事に調和。

楯野川 清流

  • テイスティングコメント:白桃やライチの香りが漂い、軽やかなアタックとみずみずしい酸味。すっきりとしたキレのある後口。
  • ペアリング:庄内産ダダチャ豆のすり流し。青豆の香りと甘みが酒の果実感と調和。

楯野川 美しき渓流 純米大吟醸(輸出専用スペック)

  • テイスティングコメント:ジャスミンティーやバニラのような香りに、透明感のある味わい。軽快だが深みがあり、世界の食に合うグローバルスペック。
  • ペアリング:山形牛の炙りに山葵ソース。肉の甘みと酒の旨みが口中で融合。

レギュラー日本酒の展開

楯野川 主流

  • 精米歩合50%。メロンの香りとすっきりとした甘みが特徴。
  • 料理:庄内豚の冷しゃぶ(ごま味噌だれ)

楯野川 純米大吟醸 爽流

  • 軽快で透明感のある飲み口。冷やして爽やかに楽しむ一本。
  • 料理:月山筍と舞茸の天ぷら

楯野川 龍泉(りゅうせん)

  • 数量限定品。重層的な旨みと透明感の共存。
  • 料理:鯉のうま煮(酒田伝統料理)

楯野川 無我シリーズ(無濾過生原酒)

  • 火入れも濾過もせず、酒の生命力をそのまま瓶詰め。
  • 料理:だだちゃ豆の塩茹で、塩引き鮭の焼き物

楯野川 子宝シリーズ(リキュール)

  • 果実と米焼酎の調和によるユニークなライン。特にラ・フランスが人気。
  • 料理:白鷹町産ラ・フランスのコンポート

北海道産または地域産原料を活かした酒造り

使用している酒米と味の傾向

  • 主に山形県産「出羽燦々」「雪女神」「美山錦」を使用。
  • 雪女神:高精白向きで、きめ細やかな味わい。
  • 出羽燦々:しなやかな酸味と香りを活かす。

仕込み水・酵母の特徴

  • 鳥海山の伏流水を使用。硬度が低く、繊細な味わいに仕上がる。
  • 協会1801号酵母など香り系酵母を適宜使い分け。

地元農家や地域との連携

  • 酒米の栽培において契約農家との密な連携を行い、耕作放棄地の再生プロジェクトも。
  • また、「農+醸+食」で山形ブランドの確立を目指す。

地元との連携・イベント事例

  • 【春】楯野川 春の蔵開き(要予約):利き酒体験、米作りツアー
  • 【夏】山形空港や新幹線車内でのペアリングイベント「空の酒と庄内食」
  • 【秋】地元レストランとコラボした「楯野川×庄内ガストロノミー」イベント(フレンチやイタリアンとの融合)
  • 【冬】楯野川×雪室野菜フェア(雪国ならではの保存野菜と酒のマリアージュ)

酒蔵の風景と訪問情報

  • 見学:可能(完全予約制・有料見学あり)
  • 直売所:併設の「楯野川ギャラリー」にて限定酒の購入・試飲が可能
  • 建物:モダンな酒蔵で、ガラス張りの見学ルートあり。冬の蔵風景は特に美しい。

アクセス

  • 住所:〒998-0842 山形県酒田市上野曽根字弁天92-1
  • 最寄駅:JR酒田駅からタクシーで約15分
  • 車:山形自動車道 酒田ICから10分
  • 空港:庄内空港から車で20分(予約制送迎あり)

まとめ

楯の川酒造は、山形の風土と革新を両立させた稀有な存在。全量純米大吟醸という高品質路線を追求しながら、輸出や地元との連携イベントにも積極的。今後も「世界が憧れる日本酒」を目指し、さらなる飛躍が期待されます。


補足:管理人は有料の酒蔵見学を経験しました(要予約)。製造現場の丁寧な解説やテイスティングは極めて充実しており、訪問価値の高い酒蔵です。