鶴乃江酒造|会津の風土とともに歩む老舗蔵の挑戦
酒蔵の魅力と実績
歴史と立地の特徴
創業は1794年(寛政6年)、福島県会津若松市にて創業した鶴乃江酒造は、200年以上の歴史をもつ老舗酒蔵です。会津藩の城下町として栄えたこの地には、名水と豊かな米処としての伝統が息づいており、蔵はその恩恵を存分に受けながら酒造りを行ってきました。
独自の酒造りへのこだわり
現在は8代目蔵元・女性杜氏の「山口悦子」氏が中心となって酒造りを担い、伝統と革新を融合させた柔軟なアプローチを展開。最新の温度管理設備を取り入れながらも、手作業の麹造り、木桶仕込みの一部採用など、酒造りの“原点”を守っています。また、福島県独自の酵母や酒米の活用にも積極的で、地域資源を生かした酒造りが特徴です。
プレミアム日本酒の展開と受賞歴(3銘柄)
1. 会津中将 純米大吟醸 夢の香
- 香味コメント:華やかな吟醸香と、福島県産酒米「夢の香」の繊細で上品な甘味が印象的。口に含むと透明感ある旨味が広がり、余韻は軽やかでキレも良い。
- ペアリング提案:会津産トマトとモッツァレラチーズの冷製カプレーゼ。酒の爽やかさがトマトの酸と調和し、クリーミーなチーズに寄り添う組み合わせ。
- 受賞歴:全国新酒鑑評会 金賞(複数回)
2. 会津中将 純米吟醸 美山錦
- 香味コメント:上立ち香は穏やかでメロン様の甘い香り。味わいはふくらみがあり、柔らかい米の旨味が広がる。
- ペアリング提案:会津産馬肉のたたき。低温調理された馬肉の淡い旨味と、酒の品の良い甘さが絶妙にマッチする。
3. Kuramitsu(くらみつ) 木桶仕込み
- 香味コメント:木桶仕込みによる柔らかな酸とふくらみ、自然派ワイン的なニュアンス。スパイスやナッツの香ばしさを想わせる複雑な香味。
- ペアリング提案:福島県産の「えごま味噌」を塗った焼きナス。土の香りと旨味が複雑な酒のキャラクターと重なり、意外性のある調和を生む。
レギュラー日本酒の展開(5銘柄)
1. 会津中将 純米酒
- やや辛口、しっかりとした米の旨味と酸のバランスが良く、日常の食事に寄り添う一本。
2. 会津中将 特別純米 夢の香
- 福島県のオリジナル酒米を使用し、軽快な飲み口とキレを両立。和洋問わず幅広い料理と合う。
3. 会津中将 にごり酒
- 米の旨味をそのままに感じられるやさしい甘さ。女性ファンにも人気。
4. 会津中将 純米吟醸 ひやおろし(秋季限定)
- ひと夏を越えてまろやかになった旨味が魅力。焼き魚や秋野菜と好相性。
5. 会津中将 本醸造
- クセが少なく、冷や・常温・燗すべてに対応する万能タイプ。
地域資源を活かした酒造り
使用酒米と味の傾向
- 福島県オリジナルの「夢の香」や「福乃香」、伝統品種「美山錦」などを積極的に使用。夢の香は軽やかで香り高く、福乃香はしっかりとした旨味と酸があり、県産米ごとのキャラクターを生かした仕込みが特徴です。
仕込み水・酵母
- 蔵の裏手にある飯豊山系の伏流水を使用。中硬水に近い性質で、ややミネラル感があり、味のふくらみに寄与しています。福島県開発酵母「F7-01」や「うつくしま夢酵母」など、香りと味の調和を追求。
地元との連携
- 地元農家と契約栽培を進めており、米のトレーサビリティが明確。環境にも配慮した酒造りを行っており、減農薬の取り組みも導入。
地元との連携・イベント事例
- 会津若松市内のレストランとのペアリング企画:地元料理店と年に数回、蔵元と料理人のコラボイベント「酒と会津を味わう夕べ」を開催。
- 福島県酒造組合主催イベント「ふくしまの酒まつり」:毎年秋に出店。
- 酒蔵でのアート展示:地元の若手作家とのコラボによる酒蔵ギャラリー展示を春に実施。
酒蔵の風景と訪問情報
見学の可否・直売所
- 酒蔵見学:予約制で見学可能(10月〜翌3月の平日)。
- 直売所:敷地内に併設されており、限定酒やグッズも販売。
見どころ
- 明治期の木造蔵がそのまま残っており、梁の太さや古時計など、歴史を感じさせる内装。
- 酒蔵の裏手には飯盛山を望む絶景が広がる。
アクセス情報
- 住所:福島県会津若松市日新町12-38
- 最寄駅:JR会津若松駅から車で約10分
- 車でのアクセス:磐越自動車道「会津若松IC」から約15分
- 空港から:福島空港からレンタカーで約1時間45分
まとめ
鶴乃江酒造は、歴史ある会津の地で地元米・水・酵母にこだわり、女性杜氏が率いる新しい感性で革新を続ける酒蔵です。華やかでバランスの取れた酒質と、地域と結びついた文化的活動が魅力。今後、地域と酒の価値を国際的に発信していくポテンシャルも高く、会津観光とあわせて訪れる価値のある蔵といえるでしょう。